レッサーパンダサミット2010 in 鯖江 |
『レッサーパンダサミット2010』
開催地は、レッサーパンダの聖地とも言える西山動物園のある福井県鯖江市。
サミット自体は10月10日なので、前日に鯖江入りし、まずはパンダ達に挨拶に。
西山動物園は、西山公園の中腹に作られた無料の動物園です。
遠くから見えるレッサーパンダ型のオブジェは、ソーラー発電機でした。
非常に小じんまりとした動物園ですが、昨年まではなかったこんなものも。
ようこそ♪
今年ママになったミンファちゃんがお出迎えしてくれます(*^_^*)
相変わらず元気に動き回っていますね。
忍者??
9日はまだ雨模様でしたが、サミット当日は晴れて、外の方にもシュンシュン君が出ていました。
こちらは、バックヤードの施設。脇からチラ見できます。
普段表には出さない個体を飼育しています。
タカシとヒサシもこちらにいるようです。
さすがに日本初のサミットとあって、全国各地のブロガーさん達が^_^;
ご挨拶出来た方には・・・
レッサーパンダで検索1位のポータルサイト
『Pon'n Call』 のpopnさん
旭山動物園くらぶメンバーでもあり、世界中の動物園を闊歩されて、
時々私に貴重な情報を下さるレッちゃんさん
『レッサーパンダ三昧』 のgachonさん
『レサパンだれだれ日誌』 のgeroppaさん
『RedPanda Maniax』 のyo-coさん
などなど、早々たる顔ぶれ。(殆ど県外からだしw)
過密スケジュールで、ゆっくりお話できなかったのが残念です。。。
こちらはご飯を頂く様子。
西山では主に、笹・ニンジン・リンゴ・キウイが与えられます。
「カリッ」という音が聞こえるでしょうか?
手に持って器用に食べます。
美味しい^^
そして寝る・・・(-_-)zzz
午後になると雨も殆どやんで、時折晴れ間も見えました。
途中「パンダらんど」を見ながら会場へ。
『レッサーパンダサミット2010』の会場は、動物園から2,3分の「まなびの館」2F大会議室。
割と新しめの施設なのか、なかなかキレイです。
第2会場として、隣のNPOの施設にも特設ブースが設置されました。
全国各地にいる鯖江ゆかりのレッサーパンダ達の貴重なお写真や、
グッズコーナーも出来ていました。
Tシャツは色が10色ほどあり、早速朝から着てしまいました^^
カメラを構えているのは、有名な動物カメラマンのさとうあきらさん。
サミットの休憩時間スライドで流して頂きましたw
地元の福井新聞にも特集記事が載っていました。
会場内にも様々なパネルが設置され、レッサーパンダ一色!
この哺乳ビンから授乳する子の写真は、鯖江駅隣の観光案内でも見る事が出来ます。
そしていよいよサミット会場へ。
前の方は鯖江市長をはじめ、パネリスト、市の職員の方々が座り、中には
安佐、茶臼山、京都、神戸、市川 など全国各地の動物園の
レッサーパンダ飼育担当者が集まりました。
4列以降は一般参加者。 私もここに座ります。
参加者は殆ど地元(福井・鯖江)の方かと思ったら、こちらにも全国ファンの方々が。
内容が内容だけにマニアックな集会なのでしょうが、
最終的にはマスコミも入れると100名近くが集まりました。
定刻13時過ぎにMCの飴田彩子さんの紹介でサミットがスタート。
基本的に市のイベントなので、関係者の挨拶から。
・池田副市長挨拶。
「本日は、(県内で)いろんな行事が重なっているのにありがとうございます。
西山動物園のレッサーパンダは、日中有効の記念として北京から寄贈されました。」
・山本衆議院議員祝辞
「誘致した時の市長(おさむ氏)が父親です。
中国は国境問題などはありますが、国から自治体、
そして鯖江が引っ張るつもりでいます。」
・山崎議長祝辞
「パンダを迎えて交流しようと動物園が出来て25年。
今は全国240頭の半分くらいは西山の血を引いているそうです。
観光の目玉として売りだしてほしい。」
そして、ここからが本題。
ある程度予想はしていましたが、かなりアカデミックな内容です。
<基調講演>
1.「西山動物園25年の歩み」(西山動物園 伊藤朗さん 飼育歴18年)
25年を振り返って、貴重な写真を見せて説明して頂きました。
まず西山がレッサーパンダを飼う事になったわけから・・・
S57年
産業、文化、スポーツなどの交流に市長が訪中した際に北京動物園を訪れる。
そこでレッサーパンダを一目見て「カワイイ!」気に入った。
素晴らしい判断ですね~
そして正しい!
GJ市長!(^_^)b
S59年8月 北京で調印。
まだ獣舎もなく、神戸王子動物園で預かってもらった。
パンパンとシュンシュンの2頭。
S60年 オープン
1日に5,000人が来園。開園日は天候もよく16,000人も!
その後、
1994年に展示場でリンリンが出産。
子供に興味なく人工保育に。育った1頭がヒサシ。
2005年 風太事件。
「2本足で立つ」というだけで全国の動物園に影響を与え、西山も何度も取材受ける。
何で急にブームなっかのか、未だに謎・・・
2008年 レッサーパンダの繁殖を認められ、賞を頂く。
2008年 市川からミンファ来園。
脱走事件で、警察を含め100名体制で捜査。全国ニュースで一躍有名に(*^。^*)
そして今年ミンファ出産。(ララさんも双子を生んでいます)
まさにレッサーパンダと歩んだ動物園ですね。
2.「レッサーパンダの繁殖計画」
○「レッサーパンダの血統登録と繁殖計画について」 (日本平動物園)
そもそも動物園とは?
最初は、見世物小屋から始まり、研究・博物館要素が加わり、現在の役割は
・レクレーション
・社会教育
・自然保護
・調査研究
また、種の絶滅の渦巻きというものがあり、それを止めるためには、
・一つの動物園では止められないので、日本全体を一つの個体群として考える
・野生には手をつけず、動物園同士でやり取りする
これが、1988年に種の保存委員会発足の流れとなりますが、
1985年から登録自体は開始しています。
現在、戸籍簿を作っている動物は147種。
それぞれ担当園が決まっています。(レッサーパンダは日本平)
レッサーパンダは割と順調に推移増加していて、
当初にいた6頭の系列が今の60%を超えているそうです。
動物園と大学で共同研究が始まり、飼育ハンドブック作成しています。
家系タイプなどを考えながら繁殖していくのですが、
繁殖期間は10年しかとれず、下手に制限すると止まってしまうそうです。
○「レッサーパンダの生息域外保全繁殖共同研究」 (神戸大学 准教授)
あまりにコアな内容のため詳細は割愛しますが、
本来、動物の繁殖は、野生を含めて包括的に行わないといけないのですが・・・
と前置きされた後、
交尾の時期、精巣の様子、排卵期間など、
レッサーパンダの繁殖について非常にアカデミックに講義して頂きました。
まだまだ分かっていない事も多く、妊娠期間も最短94日~168日との事。
こうした地道な研究が、国内のレッサーパンダ増殖につながっているのですね。
ここからは、コーディネーターに西山動物園元飼育員で「友の会」の中田さんを迎え、
題して 『レッサーパンダの25年後 生き残り大作戦』
要は、各園の担当者と一緒にレッサーパンダを考えましょう、という時間です。
・市川市動植物園のレッサーパンダ・ミンファの故郷 (市川市動植物園)
S62年、開園と同時にレッサーパンダ飼いました。
基本的に単独飼育で1部屋1頭体制。
檻式でスタートしたのは、コストや立体的な動きを見てもらいたいという理由です。
ササは園内に生えており、自給です。
思えば、ミンファが西山に来なければ、脱走で全国ニュースにもなりませんでしたね^_^;
・安佐動物公園のレッサーパンダと子育ての家の展示 (広島県安佐動物公園)
こちらも人口保育を経験されていますが、国内で殆ど事例もなく、
餌は面倒なのでドッグフードに変えました。
人工保育に失敗もしましたが、ミンミンの子を別個体のアイアイが育てるなど、
予期せぬ事も。
その後、哺乳量をおさえる事で人口保育にも成功。
そしてこのような試行錯誤を経て、「レッサーパンダ・ハンドブック」が制作されました。
このハンドブック制作には、西山動物園の中田さんも参加され、
今では海外にも提供されています。
中田さん曰く、「いつまでも "珍獣" でいいのか?」という想いで、
レッサーパンダ達が各地で安心して暮らせるように尽力されたのかと思います。
・森の中動物園 新レッサーパンダ舎建設と展示について(長野県茶臼山動物園)
H18年に再整備委員会が発足。
教員による研究を経てソフト面も強化し、新舎建設へと。
基本原則は「飼育管理しやすい」として、
せっかく園内に森があるので、それを活かそう!という案になりました。
新しいレッサーパンダ舎は動画で見せて頂きました。
パンダ達も自然に動くスペースが広く、見る側も様々な角度から見られるようになっています。
・共汗でつくる新「京都市動物園」~新レッサーパンダ舎建設(京都市動物園)
京都は日本で3番目に古い動物園で、今年108年目を迎えたそうです!
レッサーパンダ舎もかなりくたびれてきていて、21年から新しい建設計画が
実行される模様です。
以前園内でお話を聞いた時は、なかなか予算が下りなくて困ってらっしゃるようでしたが、
やっと市の方でもお金を出してくれるようになってよかったです♪
・レッサーパンダの飼育状況と新猛獣館について(静岡市立日本平動物園)
こちらは、全国のレッサーパンダの飼育状況を管理されている動物園。
ファンなら誰もが見たい血統書や家計図もお持ちだと思います。
レッサーパンダは、「風太君の母」として有名になったナラさんがいますね。
・西山動物園のレッサーパンダとこれから(鯖江市西山動物園)
家計図!
ミンファの子は第7世代になるそうです。
繁殖率は56%で、今までに30頭を出産。 育つのは3/4くらいです。
肝心の子パンダ公開は翌日から~
各園からの発表が終わり、パネルディスカッション形式へ。
本当は、ここでたっぷり時間があれば色んな質問や意見交換をしてみたかったのですが、
時間はないし、会場は寒いし、市長や議員もいるしで、ちょっと参加者からは
声を出しにくい状況だったのが残念です。。。
今後の課題としては、やはり園や市側の理解がないと先に進まないのですが、
せっかく国内では園同士の管理が行き届いているので、これからは
海外とも交流できれば、血縁の悩みも楽になるでしょうという意見も出ていました。
後は、動物園にいかに客を呼ぶかが最大の悩み所だと思いますが、
これは、最近の成功例では旭山のように見せ方を工夫するのはもちろん、
飼育員による説明(啓蒙)も続けていかないと。。。
西山動物園は「無料」であるためか、かかわる職員も非常に少数ですが、
本気で「シティ・プロモーション」を考えるのであれば、これだけ
全国のファンが集まる動物園を、もっと積極的に効率的に売っていくべきかと思います。
例えば、今回のサミットにしても、日程を1日早めて3連休の初日に開催して、
子パンダも初日から公開していれば、全国の優秀なブロガー達が瞬時に宣伝してくれ、
結果的に連休中に鯖江を訪れる人が増えて、お金を落として行ってくれたと思うのです。
まだ試行錯誤の中で開催された実質「第1回」ですし、
市役所が主催する事自体が難しいのも分かりますが、
西山にサミットを開ける力と魅力がある事は証明できたと思いますので、
この1回で終わりにしないで、是非とも続けていってほしいです。
まずは、地元サバエ・シティホテルと組んで
サミットツアーとか合宿なんかできそうですけど、どうでしょう?
おまけは、サミット会場内に張られた歴代のポスター。
このポスターも25年続いているというのはスゴイ事です。
きっと今ならプレミア付きで売れますよw
関係者の皆さん、全国から駆けつけた皆さん、お疲れ様でした。